けり …過去?詠嘆の意味をもち、ラ変型の活用で、活用語の連用形に接続する。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
けり (けら)○ けり ける けれ ○ ラ変型
(1)過去…[~だ]
けり 頼義も取り返したる馬をば郎等にうち預けて寝にけり。(今昔物語集?二五-一二)
(頼義も取り返した馬を家来に預けて寝てしまった。)
[終止]
紀の国の千里の浜にありける、いとおもしろき石奉れりき。(伊勢物語?七八段)
((土地の人が)紀の国の千里の浜にあった風流な石を献上した。)
大きなる榎の木のありければ、「榎の木の僧正」とぞ言ひける。(徒然草?四五段)
(大きな榎の木があったので、みんなは「榎の木の僧正」と言った。) [已然]
(2)詠嘆…[~だなあ?~なことよ]
けり げにあはれなるものの隈ありぬべき世なりけりと…(源氏物語?橋姫)
(なるほど、趣き深い、人知れない場所が確かにありそうな世の中であったなぁと…)
[終止]